春は結婚式シーズン、友人や同僚の結婚式で余興を頼まれるという方も多いのではないでしょうか。
しかし、結婚式の余興については「これはウケル・スベる」など賛否両論あります。
たとえば
- 大半が寒いからなくてもいい
- 新郎新婦からすると自分たちのためにやってくれて嬉しい
- ゲストが引かない、楽しめる余興なら歓迎
という意見がみられます。
「余興を頼まれているが、じゃあ結局何をやればいいのか?」と思うかもしれません。
筆者が婚礼業界の現場に携わってから10年になりますが、実際のところ、ゲストにとってみれば、残念ながら目も当てられないような余興も沢山見てきました。
世の中で「この余興がおすすめ!」とされる動画などをすべて鵜呑みにするのは正直危険です。
今回は筆者の経験から、これから余興を頼まれる可能性のある方のために、余興を成功させるためのポイントと事例を徹底解説します。
実際に余興の準備をできるところまでサポートしますので参考にしてください。
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まず知っておきたい・こんな余興は特にNG
まず、筆者が現場で痛い目を見た「こんな余興は特に高確率で外す!」という事例をご紹介します。
主に、ポイントは以下の3つになります。
- 5分以上の長い余興
- ダンスなどで恥ずかしがっている余興
- 新郎側の内輪ネタ(クイズなど)
以下、詳しく見ていきましょう。
NG事例(1)5分以上の長い余興
まず、どれだけ完成度が高くても5分以上の余興は鬼門と思いましょう。
披露宴の進行に影響するといったこともありますが、5分をすぎると往々にしてゲストも飽きてきます。
10分近い余興で、ゲストも新郎新婦も最後まで大盛り上がり!といった余興はほとんどありませんでした。
終わりよければ全て良しという言葉にもあるように、スタート時に盛り上がっていても、終了時にゲストも飽きていて拍手もまばら、といった事態は避けたいものです。
頑張って演じている側からは会場の雰囲気はつかみにくいものです。目安として余興の予定は5分以内に抑えましょう。
ちなみに筆者が参列した結婚式の中には20分以上にも及ぶ友人の余興があり、構成が練られていたわけでもないため、散々たる空気になっていました。
NG事例(2)ダンスなどで恥ずかしがっている余興
ダンスなどのパフォーマンスで、練習する時間が短いなどで自信がないのか恥ずかしそうに行うのも危険です。
日本人ならではの事例といえます。たとえば
- ダンスと歌のパフォーマンス
- フラッシュモブのサプライズ余興
などでは、どうせやるなら思いっきりやりきることが大切です。
自信なさげにモジモジとしている、キレの良い動きを見せるのが恥ずかしいのか、ヌルヌルっとしたダンスでは盛り上がりようもありません。
ちなみにフラッシュモブは、日本人の気性にはあまり合わないという意見を筆者としては持っています。
参考として、演じるメンバーのうち半分が完コピができているか、ダンス経験者ならゲストから見ても完成度が高く映ると思います。
もし練習時間が足りない、と途中で思ったのなら後半の記事を参考に、外さない余興に切り替えるのもひとつです。
NG事例(3)新郎側の内輪ネタに走った余興
結論からいうと、新郎側の余興は内輪ネタに走り過ぎると大惨事になります。
ときどき、余興をする予定の友人が式場に下見・相談に来られることがあります。
その際、どんな余興にするか内容が決まっておらず、どんな余興がいいですか?と相談をいただくことが時々ありました。
そういった場合に限り伝えていたのは「新郎側は、内輪ネタでウケを狙う余興は絶対やめた方がいいです」ということです。
理由はシンプルで
- 新郎側の内輪ネタは親族、新婦側は理解できない
- 悪ふざけの延長線になってしまうことが多く、親しい友人にしかウケない
といったことです。
具体例を挙げると、新郎側しか知らないような大学時代のエピソードを10分以上クイズにした余興がありました。
出題者・解答者ともに新郎友人のため、会場は冷めきってしまっていた記憶があります。
あなたが新郎側で余興を検討しているなら、とにかく内輪ネタは避けることです。
無難でもかまいませんので、後半を参考に「外さない・皆が喜んでくれる余興」を選びましょう。
新郎の内輪ネタの余興が外す事例として、具体的に
- 脱ぐ系の余興
- 新郎イジリが過ぎる余興
なども含まれます。
脱ぐ系の余興
下ネタともいえますが、余興の中で男性が脱ぐネタは新婦側のゲスト・年配者ともに引いてしまいます。
こういった場合に脱ぐ役割の人はグループの中で決まっていることが多く、内輪ネタの余興の場合に陥りやすい事態といえます。
新郎イジリが過ぎる余興
特に新郎を立てるわけではなく、新郎イジリが過ぎる余興も引かれてしまいます。
新郎側の仲良しグループはウケていましたが、会場全体では微妙な空気になっていました。新郎はもちろん、特定の人物をイジる内容では全体の笑いに繋がりにくく、喜ばれる余興にならないことが多いです。
新婦側の余興は寛容にみられることが多い
新郎側の余興に触れたので、新婦側についてもポイントをお伝えしておきます。
結論からいうと、新婦側の余興は寛容にみられることが多いです。これまで数百の結婚式を見てきましたが、新婦側の余興は、大きく外すことはありませんでした。
- 歌を贈る
- 並んでメッセージを読み上げる
- 人気の曲でダンスを踊る
など、スタンダードな余興が多かったことも一因かもしれません。
最近、定番どころだと西野カナさんの「トリセツ」を友人一同で新婦の名前の替え歌にして歌うというものがあります。
この歌詞もそもそも、新婦側の余興として定番になった「新婦の取り扱い説明書」紹介からきています。
ちなみに昨今では、元ネタのはずの「取説説明書紹介を読み上げ式でやる」のは、新婦側であっても結構な確率で滑るようです。
- 取扱説明書ネタがベタになりつつある
- 歌でもないので、抑揚がなく盛り上がりに欠ける
のが原因かと思います。
取扱説明書テーマでやる場合は、歌とバックで流れる簡単な映像程度にしておくことが無難でしょう。
場合によっては危険な余興の参考例
特にNGというわけではありませんが、場合によって「ハズす」可能性がある余興の参考事例をお伝えしておきます。候補にあげていた余興がある方は参考にしてください。
ロック寄りのバンドは年配のゲストには「やかましいだけ」と不評
筆者は学生時代、バンドをやっていたので、結婚式の余興でもバンドはありかな、と漠然と思っていました。
しかし、実際のところバンドの余興はウケる場合とウケない場合がはっきりしています。
また、ドラムが入ると年配のゲストからの評判はかなり悪くなります。どうしても生音が響く楽器のため、パフォーマンススペースの近くに座っているゲストからは
- 他の人の声が聞こえず会話にならない
- 頭が痛くなる
といったクレームに近い声が挙がることもありました。
また、ドラムの音に負けないようにギター・ベースも音量を上げていく傾向にあるため、うるさくて何をやっているのか分からないこともあります。
アコースティックギターとピアノ(キーボード)のようなシンプルなセッションや、下記「Sugar/Maroon 5」のようなお洒落なバンドサウンドであれば、ウケも良いというのが筆者の見解です。
結婚式場のPA(音響担当者)は式場専属のため、バンドの音響にはあまり慣れていないことがある点も要注意です。
バンド余興のネックは「セッティング時間」
もうひとつ、バンド余興で気をつけるべきなのは「セッティング時間」です。
いわゆる音出しの時間が、バンドの場合は必要です。実際に音を出しながら出力音量を調整したりします。
その時間は、参加者も前に出て、音は鳴っているが余興は始まらないという「待ち」の時間となります。
これが押して、準備で5分以上経過してしまうと、始まる前にすでに盛り下がってしまっているということが起こりえます。
ライブハウスの場合は、演奏を聴きに来ていること、準備時間も楽しみに見ている人が多いと思いますが、結婚式ではそれは当てはまりません。
流行りものをやろうとすると当日にはブームが過ぎていることも
その時々の流行りものをおすすめとする動画もありますが、筆者個人としてはこれはあまりおすすめしません。
今でいえば、
- DA PUMP / USA
- ひょっこりはん
などがあると思いますが、余興の依頼は結婚式の2ヶ月前にはされることが多いものです。
しっかり練習して、披露するときにはブームの頂点は過ぎている可能性があります。
また、式直前になって余興を決定し、今まさに旬のものを選んだ場合でも「練習時間が足りず、完成度が低い」ことになりかねません。
中には、1年後、2年後に当日の映像を見直して恥ずかしくなるという声も聞かれますので、流行りモノにただ乗っかるのはおすすめではありません。
かつ、お笑いのネタをやる場合「その本人がやってこそ笑いが起きる」ということも認識しておきましょう。
親族の方は要注意!詩吟は新婦からは引かれることも
中には、親族の方が有志で余興を買って出てくれるパターンもあります。今回の記事を親族の立場で読んでいる方もいるかもしれません。
親族の方からお祝いの余興として披露されることが多いのが「詩吟」です。しかし、今の世代の新郎新婦に贈る結婚式の余興としては残念ながら危険です。
単体でみると素晴らしいものなのですが、今の洋式のパーティー(和装であったとしても)にはマッチせず、あまり理解されない事情があります。
特に、コーディネートにこだわり「こんな披露宴にしたい!」というイメージが強い花嫁には「披露宴のテイストが変わってしまいありがた迷惑」と取られる節もあります。
詩吟は往々にして長くなるケースがあるのも、前述の「余興は5分以上は危険」というポイントに当てはまります。
成功事例から伝える・おすすめの喜ばれる余興にするための注意点
これまで、余興のNG事例や注意点をお伝えしてきましたが、結婚式の余興自体はうまくやれれば想い出に残る良い時間になります。
ここではいよいよ、成功事例とともに、喜ばれるおすすめの余興・成功のためのポイントをお伝えしていきます。
前提として押さえておくべきポイントは2つです。
ポイント(1)企画を考える前に:余興は誰に向けたものなのかを知る
まず、この余興は誰に向けたものなのかを整理しましょう。
多くの場合、新郎新婦が自分たちに向けてパフォーマンスしてくれと言っているわけではありません。
「会場を盛り上げてほしい」という方向性の依頼であれば、ゲストの顔ぶれを考えることが大切です。
どんな方が来るのかの顔ぶれを新郎新婦に聞いてみると、
- 親族が多い:若いノリにはついていけないこともある
- 友人が多い:ある程度盛り上がり狙いの余興でもいけそう
と想定ができます。
ポイント(2)笑いよりも「驚き」を求めるべき
余興を考えるときにぜひ押さえてもらいたいのが「笑いよりも驚きを取りに行く」ということです
笑いのツボは十人十色で、世代によっても異なります。
芸人ではないのですから、狙って笑いを取りに行っても会場全体のウケを取ることは難しいです。
しかし「驚く」というラインは、ある程度共通しています。
余裕があれば、何の余興をするにしてもどこかで「驚きを取りに行く」ことで、結果感動的な余興にもつながります。
映像・ダンスなどで予想以上のクオリティというのも「驚き」の一種です。
例えば、以下のような事例が挙げられるでしょう。
- 皆が知っている意外な人物が登場する
- (映像などで)最後にメッセージが完成するなど。これまでの伏線を回収する
次に新郎新婦・ゲストにも広く喜ばれる余興の事例を3つお伝えしましょう。
おすすめの喜ばれる余興(1)本気のクオリティが高い余興
もし、余興を担当する人に特殊な技能やスキルがあれば、それを活かした余興がおすすめです。
例を挙げれば
- 映像編集を得意とする方:映画・PV仕立ての映像
- 絵が得意な方:ライブで新郎新婦の似顔絵を描く
- ダンスが得意な方:本気のダンスを披露
- 和太鼓や三味線など、楽器の演奏
などです。
年配や新郎新婦の家族で、ドラムの音が苦手という方も、和太鼓の披露は楽しんで聴いているようでした。
しかしこれは、余程のスキルを持っている場合に限ります。こういったパフォーマンスができる方はそもそも、あまり余興では悩まないでしょう。
おすすめの喜ばれる余興(2)新郎新婦のプロフィール紹介を映像で
ダンス・映像の特別なスキルがない方でも、会場の好反応を得られる余興としておすすめなのが「友人の立場から新郎・新婦のプロフィール紹介映像を作ってみる」ということです。
仮に、結婚式の中でプロフィール映像をふたりから用意していたとしてもそれは「新郎新婦視点からの自己紹介」なので、被ることはありません。
ゲストに共通して興味があることはもやはり新郎新婦のことです。
お祝いの映像はクオリティと企画次第で反応が変わってしまいますが、
「新郎新婦はこんな人というエピソードを仲のいい友人・同僚から紹介する」ことで、会場全体の注目を高い確率で集めることができます。
実践にあたっては、上述のとおり「内輪ネタに走り過ぎない」ことを注意しましょう。映像自体はそこまで手の込んだことでなくても構いません。
無難でいいので、新郎新婦の人となりが観る人に伝わる紹介を意識しましょう。
ちなみに極端な例ですが、下記の動画のような事例もあります。
ともすれば内輪ネタと取られがちな内容ですが
- 歌を作ってきたという意外性(驚き)
- 曲、歌のクオリティ
- 映像のクオリティ
- 新郎イジリもあるが、適度なバランスかつ「人となりを伝える内容」になっている
が多くの予想を超えているため、結果盛り上がる余興となっています。
ここまでいかなくても、スライドショーメインで、新郎新婦の意外性のあるエピソードを紹介する動画でも余興として充分喜ばれるものになります。
おすすめの喜ばれる余興(3)歌なら盛り上がる曲を選ぶこと
ここまでご紹介した事例は、映像編集などのスキルが求められることもあります。
そんな技術はない!という方は「一緒になって盛り上がる歌を歌う」ことをおすすめします。
歌は上手いに越したことはありませんが、筆者が担当してきた経験からいえば、歌の上手さよりも
- ゲストに向けて歌うこと
- 楽しんで歌うこと
が大切です。
盛り上がるといっても、激しい曲や自分の世界に入り込んで歌う曲は「カラオケ大会」という印象になってしまいます。
結婚式にも合うテーマの曲だと良いですね。曲のおすすめは以下です。
愛を込めて花束を/Superfly
参考:実際の余興動画
再生回数が800万回という驚異的な数字です。本人が自分の世界に入り込まず、楽しそうに歌っているのが周りにも好意的に受け止められています。
何かの演出の続きなのか、全員がスタンディングであるのも盛り上がりの要因のひとつといえます。参列者の顔ぶれともぴったり合っています。
南風/レミオロメン
100万回の「I love you」/Rake
注意点:バラードはプロであっても難易度が高い
さきほど「驚き」を盛り込めることが大切とお伝えしましたが、歌は余程上手でない限り、それで感動を作れることは稀です。
周りが自然と盛り上がれる曲・雰囲気であるかどうかに、歌の余興の成功はかかっています。
その点で、バラードはプロ級に歌が上手い人であっても盛り上げるのは難しいです。
本人は入り込んで熱唱していても、周りはどこか冷めて料理を食べている、というのは日本の結婚式にありがちな光景です。
司会との連携も非常に大切
経験上、余興スタートのきっかけとなる司会の紹介・音響との連携も非常に大切です。ここがグダグダになると、
- 紹介はされたが、余興の準備がまだ完全にできておらず、微妙な間ができてしまう
- 余興の内容と合わないテンションの(低い・高い)紹介をされてしまい、違和感がある
といったことに繋がります。
結婚式場のスタッフと余興を行う方が打ち合わせするのは、会場下見時と結婚式当日(披露宴開宴前)の多くて2回までです。
特に、会場下見時は司会者が打ち合わせに入ることはほぼありません。土日祝は司会者が結婚式で会場にいることもありますが、当日の司会・事前打ち合わせで手一杯です。
下見時は、会場専属のオペレーター・音響演出担当者が代表して打ち合わせを行うことが多いです。
そのため司会者と直接打ち合わせができるのは結婚式当日・披露宴直前です。そのときに「余興のスタートタイミング」については抜かりなく打ち合わせをしましょう。
中には「余興の紹介を含めた司会台本」まで作ってくる方もいますが、大半が白々しく、面白くなった記憶がありません。
あわせるべきはあくまで「司会の紹介タイミングと、余興との温度感の一致」です。紹介までの流れは素直にプロに任せましょう。
さいごにポイントおさらい
今回の記事では、結婚式のプロである筆者の経験から
- これは残念ながらスベる!という余興のNG事例
- 新郎新婦・ゲストにも喜ばれるおすすめの余興
をお伝えしました。
最後にお伝えしたいことは、余興は特に奇をてらう必要はないという事です。
何か面白いことをしなければと、ネタに走った結果、参列者に響かない余興になってしまっては本末転倒です。
結婚式の余興は
- 変わったことをする・ウケを狙わなければならない場ではない
- たとえ無難であっても、参加者と楽しむ・お祝いの気持ちを素直に伝える
と知ることで素敵な時間になります。
ぜひ、これから余興を企画する・依頼されたという方は参考にしてみてください。
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